CROSSAir 2015 邦人作曲家 野村誠

Makoto Nomura

野村誠さんの、アコーディオン、ピアノ、箏トリオ曲

『六段→交段→空段→穴段の調べ』(新曲委嘱作品 世界初演)

今年は、八橋検校没後330年であり、バッハ生誕330年です。
八橋検校の「六段の調」に挑もうと思いました。

「六段」と合奏するために、後世の人が、箏や三味線の手付けをして、色々な「六段」の合奏があるらしい。
この曲は、八橋の没後も、生きた音楽として、様々なアンサンブルに変容した歴史を経験しているのです。
ならば、21世紀に、アコーディオンやピアノの手付けをしてみよう。
古典への冒涜ではなく、敬意を示しながら、現代の感性で、古典を再解釈する作業をしたいと思ったのです。
ぼくの耳には、「六段」は、こんな音楽に聞こえているけれども、どうでしょう?という対話。

ということで、初段から六段まで、箏は、古典の通りに「六段」を演奏し、それに、野村が作曲したピアノとアコーディオンが合奏します。
きっと、古典とは全然違った音楽に聞こえるはずです。
でも、箏は確かに「六段」を演奏しています。
そして、アコーディオンやピアノも、知らず知らずのうちに、八橋の残した息づかいを体得することでしょう。

そして蛇足になるのは十分承知ですが、余段になる集結部を新たに書き加えました。
蛇足ですが、勢いにのって、書いちゃいました。
ユニゾンで演奏していき、最後は「六段」の余韻に浸りながら、静かに曲は終わっていきます。

cross airに敬意を表して、「交(cross)段」、「空(air)段」、そこから音を減らしていった「穴段」になる。

愛すべき3人の素晴らしき演奏家の音の交流を想って、書きました。

野村 誠 Makoto Nomura

1968年生まれ。京都大学理学部在学中より音楽活動を展開し、雑誌やテレビの注目を集めた。作曲は独学。卒業と同時に、レコード会社と3年の専属契約、英国留学を経て、96年よりフリーの作曲家/即興演奏家として活動する。ピアノ、箏、アコーディオン、ガムラン、オーケストラ、瓦など、あらゆる楽器のために作曲し、ジャンルを横断して活躍。20カ国以上で作品を発表し、北海道から沖縄まで40以上の都道府県で公演を行う。NHK「あいのて」、「ドレミノテレビ」、「ヒミツのちからんど」などのテレビ番組に出演し、子どもの創造的な音楽教育を提案。新聞へのコラム連載、日本センチュリー交響楽団コミュニティプログラムディレクター、だじゃれ音楽祭の監修など、活動は多岐にわたる。著書に、「即興演奏ってどうやるの」(あおぞら音楽社)ほか。CDに「瓦の音楽」(淡路島アートセンター)、「ノムラノピアノ」(とんつーレコード)ほか。